摂食障害専門カウンセリングルーム あや相談室

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6月のひとこと

「自分と同じ意見、考え方、見方をしている人はこの世にひとりもいない」
落ち込んでいる時に、ポジティブな言葉で励まされて更に落ち込んだ・・・ってことありませんか?
ただ話を聞いて欲しいだけなのに、「こうした方がいいよ」「みんなもそうだよ」「考えすぎだよ」等とポジティブな励ましのつもり言葉をもらっても、そうはできないからこんなに悩んでいるのに、苦しんでいるのに、と思います。

今抱えている負の感情をちゃんと受け止めてもらえないと、自分を否定されたように思って心が傷つきます。やっぱりわかってもらえないんだなと更に落ち込みます。

これは認知(物事の受け止め方)によって生じた言葉のすれ違いであり、どちらが悪いという問題ではありません。
同じ場所にいても同じことをしていても、そこにいる人数分だけ、異なる気分や考え方が存在します。つまり、「自分と同じ意見、考え方、見方をしている人はこの世にひとりもいない」のです。

この事実を知っておくと、念頭に置いておくと、「なんでわかってくれないの?」「もう誰も信じられない!」等と一方的に落ち込んでいくことを最大限に防いでくれると思います。

とはいえ、やはり落ち込んでいる時は思いのままに感情を外に放ち、それをしっかり受け止めてほしいものです。念頭にあれこれ置いて話したくなんてありませんよね(苦笑)。そんなときは是非カウンセリングを利用してほしいと思います♡

自信がない
関東はそろそろ梅雨入りするようです。「梅雨」と聞いただけで憂鬱な気分になりますが、そもそも憂鬱な心の動きというのは、自己評価が低いところから起こるものです。自己評価が低いと自信もなくなります。

ところで、自信とは何を意味するのでしょうか。私たちは、自分についての感じ方が良い時に「自信」を感じます。つまり、自分は大丈夫と思えることや、自分はこのままでいいと思う、その感覚こそが本当の意味での自信です。
逆に言えば、自分についての感じ方が悪いとき、自分はこのままではダメと思うときに私たちは「自信がない」と感じます。

今の自分はこれでいい
感情の波が激しい人には、「否定的なセルフトーク(「~すべき」、「~すべきでない」、「~できて当たり前」など)や、不合理的な確信(「完璧でなければ嫌われる」など)を持つ方が多く見られます。
彼らは、自分の自信を保つためには、成長していくためには、日々努力と忍耐と気合いが大切だと確信しています。と同時に、ありのままの自分を受け入れると、成長できなくなるのではないかという恐れを持っていますが、その恐れは間違っています。

成長とは、今の自分(ありのままの自分)を肯定している土台の上に乗っかっていくものだからです。今の自分を否定している限り、土台はぐらぐらして安定せず、その上に何か乗せてもすぐに崩れてしまいます。
ありのままの自分を受け入れるということは、特に何かをするということでありません。むしろ、何もしない自分を受け入れるということです。今の自分に対して、○も×もない。何の評価もせず、とりあえず、「今の自分はこれでいい」と思うだけです。これだけでいいのです♡

あなたが「今の自分はダメだ・・・」と思ってしまうのは、あなたが本当にダメな人間だからではなく、否定的なセルフトーク(思い込み、信念、主観)のせいであることに気づいてほしいです★否定的なセルフトークを土台とした考え方をしている限り、自信を持つことはできないからです。

私は、スマホのメモ帳に「大切なのは自分を信じること。それだけだよ。」と書き留めてます。疲れると否定的なセルフトークが強くなりやすいことを自覚しているので、そんなときにこの文字を見て、視覚による肯定的なセルフトークで心のバランスをとるようにしています。

家族だけで何とかしようとしない
クライアントのお母様の中には、お子さんのことを心配し過ぎて疲労がたまり、ご自身も抑うつ状態に陥っている方が少なくありません。無理もありません。
誰だって我が子が苦しむ姿は見たくありません。それを日々見せられることはものすごいストレスです。その上、お子さんから行き場のない苦しみや怒りをぶつけられ、それがいつまで続くのかも分からずに受け止め続けたら、暴言も吐きたくなるし、不眠にも欝にもなります。

以前、過食症のお子さんのいる方から、「一体いつまでこの苦しみが続くのか。この苦しみは家族にしか分からないと思います」と涙ながらに言われた時、返す言葉がありませんでした。病気に悩むお子さんと同じくらい、それ以上に、ご家族の方の疲労感や無力感は強いのです。

それなのに、日本では未だに根強く、「家族の病は家族がサポートする」という考えがある感じがします。これでは心の病への偏見は一向になくならないし、家族が世間体を気にするのも、家族みんなが不幸になってしまうのもおかしいことではありません。

だから、家族だけで何とかしようとしないでください。もちろん、本人任せもいけません。利害関係のないサポーター(病院、カウンセラー、家族会など)を頼ってください。そうすれば、家族だけでは得られなかった的確な情報を得らえて、視野が広まります。同じ思いをしている人たちと出会えれば、安心感が増し、不安や焦り、孤独感が薄れます。
親御さんのこのような変化は、お子さんにも良い影響を与えます。今までの監視されているような感じが、見守られているように変わり、お子さんも安心します。

摂食障害の治し方に「これさえすれば!」なんて方法はありません。
どんなやり方であっても、お子さんのことを想い、試行錯誤しながら、その都度良かれと思ったことを実行していかれるならば、新しい風が絶えず入り込み、必ず良い方へと進んでいきます。
途中、泣いたり怒鳴ったり否定したり、諦めかけたり絶望したとしても、それらは全て、お子さんのことを大切に思っているから起きたことであり、親御さんのそういう完全じゃない、人間臭いところを見せることは至ってふつうのこと(△)であり、良いことだと思います。むしろ、キレイゴトだけでは治らないと思います。

最後に、一番良くないのは、本人も家族も誰のサポートも受けないことです。
的確な情報を得られずに、お互いに良かれと思って行動していると、共依存や過干渉になりかねません。怖いのはその歪んだ関係に慣れてしまうことです。

一方で、お子さんと一緒にカウンセリングにいらした親御さんが、「この子のことは私が一番分かっていますから」とおっしゃられることがあります。
そうかもしれませんが、その親御さんが分かっている、お子さんのこと、病気に関する知識や理解力が、お子さんに大きく影響してしまうのは確かであり、それはちょっと危ないなと思います。

カウンセリングでは、お子さんのことをよく分かっている親御さんがまだ知らない、まだ理解していないかもしれない知識や問題の解決の仕方についてもお伝えできたらと思っております。

今月も皆さまといろんなお話ができるのを愉しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

2018年6月4日
摂食障害カウンセリング あや相談室主宰
摂食障害カウンセラー 長谷川あや

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