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恵門のお不動様(1)

正月早々調子が悪い。体型はそれほど変わらない。なのに
人生を謳歌している従姉妹と、惨めな自分を比べてしまって
からか。
今回の不調はとても長い。夜になると不安と焦りがどんどん
強くなっていく。

「なんで私だけがこんなに辛い想いをしなければならないんだ。
お母さんはなぜ私を産んだの?こんなに辛いならもう死にたい。お願い。死なせて!」
夜な夜な続く私の激しい叫び声。母が参ってしまったのは
当然のこと。

1月の末にとうとう母に言われた。
「一緒に死のうか」怖いくらい真顔だった。
「おう!いいよ!」と返したものの、母の顔は全く
変わらない。
「明日の夜、夜行列車で小豆島に一緒に行ってそこで死のう」

な、なんで小豆島なの?私は急に怖くなった。
母は本気だ。どうしよう。

いきなり二人で小豆島に行ってくると言い出した母に父は
驚いた。そして心配した。母がそれ以上のことを何も
言わなかったからだ。

私たちは翌日着替えも持たずに出発した。父は東京駅の
ホームで私たちを見送った。そのときのなんともいえない
父の複雑で悲しそうな顔を、私も母も一生忘れない。

どういう風にして島に渡ったのか全く覚えていない。
母は精気を失った顔をしていて、私は幽霊と一緒にいる
ような気分になった。なんとなく母に殺されるような気がした。
言葉では言い表せない不安と恐怖を感じた。
「小豆島になんで行くの?」
母は「小豆島に着いたら教えてあげる」とだけ答えた。

小豆島に着くとすぐにバスに乗った。降りた場所は険しい山の入り口。
「ここから先は歩いて登るよ」と母。
山道を歩きながら母が話し始めた。

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