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何が違うんだろう

一人暮らしは自由です。何をするのもしないのも自由です。
そこには気を使う人も口うるさい人も私を監視する人もいません。
だからとても静かでした。でもとても孤独でした。

一度不安感に苛まれると、それを拭い去ることができなくて
怖くて怖くて仕方ありませんでした。そんなときは
布団の中に潜り込み「誰か助けて!」と泣きました。
何がしたいのか全く分からず、したいことがあってもそれをする
勇気が出せなくて、不安と焦りはどんどん増していきました。
そんな辛い現実から目を背け、情けない自分を責めては
過食しました。だから私はどんどん太っていきました。

毎年1月2日になると、祖父母に会いに親戚の人たちが10数名
うちにやってきます。「年に一度のことだから。ちょっとだけでも
顔を出して」と親に言われ、渋々うちに帰ってきました。

下を向いて皆さんに新年のご挨拶。
「あら、あやちゃん、どうしたの~?こんなに太っちゃってぇ!」
「もっとおしゃれをしなきゃ駄目よ。まだ若いのにぃ」
「おおっ!体格良くなったなー。おじさんよりでかいんじゃない
かぁ?」
みんな、驚いたり笑ったりしながら、見たままの私を素直に
表現してくださいました(苦笑)。

悪意がない言葉ほど悪意に満ちているものはない。
初っぱなからボロボロでした。
もう絶対に何も口にしないぞ!と心に決めました。

私には1つ年下の従姉妹がいます。彼女は「これから友達と
スノボにいくの。だから後2時間くらいしたら帰るね♪」と
ルンルンでした。「うわー。美味しそう!ダイエット中なんだ
けどなー。ま、いっか。今日だけ食べちゃおうっと」と
笑いながらダイエットコーク片手にバクバク食べていました。

私から見た当時の彼女は、私と全く変わらない身長、
体重、体型の持ち主でした。
でも今風のオシャレをし、指には彼からもらった指輪が
キラキラ光っていました。

なんでこの子はこんなに太っているのにこんなに楽しそう
なんだろう。

なんで私はこの子のように楽しめないのだろう。

この対照的な2つの疑問に私は答えることができませんでした。
でも今なら分かります。
あの頃の私は、体重や体型でしか自分を評価することができなか
った。だから何をするにも「まず痩せてから」だった。
そうじゃないと何もできなかったから。
何もしたいと思えなかったから。
太った自分が大嫌いだったから、完全に否定していたから、
そんな自分を楽しませることなんて考えもしなかったんです。
そんな自分でオシャレをしたりする気になんてなれなかったんです。
そんな自分でお友達と旅行なんてとんでもなかったんです。

でも彼女は、私と同じ体型でも、その自分でしたいことや
できることが沢山あった。多少食べ過ぎても、多少太っても
そんな自分でもしたいことやできることが現実に、そこに
ある。だから安心して「ま、いっか」で済ませることが
できたんですね。
したいことやできることがあるからルンルンでキラキラして
見えたんですね。

私たちのこの「差」はとても大きかった。
でも見た目全く同じな私たちの一体何がどう違うのか、
私がそれに答えられなかったように、彼女も周りの人たちも
何がなんなのか全く分からなかったと思います。

この時、従姉妹と一緒に撮った写真があります。
私が顔で笑って心で泣いているのがよく分かる1枚です。
これ以外にも拒食や過食で苦しんでいた時の写真を1つに
まとめて持ち歩いています。
絶対に撮られたくない状態の時に撮られてしまった写真や
日記や手紙が、今では私が7年間かけて摂食障害をどう
克服してきたかを、みなさんに目で見て感じてもらえる
資料の1つとなっています。

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