摂食障害専門カウンセリングルーム あや相談室

Home > 今月のひとこと > 12月のひとこと | 摂食障害専門カウンセリング あや相談室

12月のひとこと

●メタ認知とは
自分自身を客観的に認知する能力を「メタ認知」と言います。
メタ認知能力を高めると、自分自身を冷静に見つめられるようになるので、感情的になることが減り、人間関係の様々なトラブルが防げるようになります。

●メタ認知能力が低いと、
メタ認知能力が低いと生き辛いと思います。気づかぬままに自分で自分の成長の機会を邪魔してしまうからです。
まず、相手の立場になって考えることができません。そのため、相手への配慮に欠けた行為が目立ち、「空気を読めない人」「変わっている人」「困った人」「わがまま」「自己中」「扱いが難しい人」と言われてしまいます。
でも本人はなぜ自分が他人からそう言われるのかが分かりません。この分からないことこそがメタ認知能力の低さの特徴でもあります。

自分を客観的に見ることができないのは、「自分がない」状態とも言えます。自分で自分がよく分からないから、他人の気持ちもよく分かりません。そのため、他人の思いを察したり、思いやったりする他人への共感が苦手です。
自分とも他人とも共感できないということは、「自分と他人との境界線が曖昧」ということにもなります。そのため、何かあるとすぐに過度に他人に頼ったり、他人のせいにしたりします。

私も若かりし頃はメタ認知能力がとても低く、人からよく「あやはわがままだね」と言われていました。その言葉に傷つきつつも、「私は悪くない!私のことを理解してくれないみんなが悪いんだ!」と思っていました。こういうところがメタ能力が低い人の特徴だなんて、当時は全く気づきませんでした。

●メタ認知能力を高めると得られること
生きやすくなります!
まず、感情の浮き沈み(波)が穏やかになり、落ち込みにくくなります。相手の立場に立って考えられるようになるため、良い人間関係を保てるようになり、安心感も増えます。そして、こうなるためには下記の訓練(意識)あるのみです!!

●メタ認知能力を高める3つの訓練とは、
1)「~だと(自分は)思っている」を、自分の感情の最後に付け加える
「疲れたな-」「仕事行きたくないなー」「もっと寝ていたいな-」と思った時、その感情(主観)の語尾に「と、自分は思っている」という言葉を付け加えるのです。たったこれだけのことですが、主観を客観視していることになります。そして、この一手間が、感情が中和し、少し冷静になれるのです。
この訓練は、「通勤中の車内でやる」、「昼休み中だけやる」などと行う時間を決めて継続することが大切です。じゃないとやること自体を忘れちゃいます。メタ認知能力を高めていくためには訓練の継続あるのみです!

慣れてきたら、感情が激しく動いた時にもやってみてください。例えば、すごくむかついたり、すごく落ち込んだときに、その気持ちに「と、自分は思っている」を付け加えてみるのです。すると、冷静な自分が出てきて、無理に怒りを抑えたり、無理に明るくしようとしなくても、気持ちが少し治まるようになります。

更に慣れてくると、あれこれしながらも、自分の感情を実況中継することもできてきます。
私は育児中のストレスで過食をしたくなったときによくそうしていました。
ある日の自分実況中継のコメントを恥ずかしいけど披露します(笑)

「今、私は過食したいと思ってる。今すぐ着替えてコンビニに走って行って、あれこれ買いたいと思っている。でも外は雨だし、寒いし、着替えるのは面倒くさいなーとも思っている。すごく食べたいと思っているけど、食べなくてもいいかなとも思い始めている自分がいるんだよねー。どうしようかなーと迷っているみたい。でもやっぱり食べておきたい気持ちが強いかな。うーん。せっかくの休日だしねと思っているし。よし!食べたいものだけ吟味して買ってこよう。この雨の中、外出する自分は偉いと思います。というわけで、ママはこれからコンビニに行ってくるけど、何か欲しいモノある?」

私の変な独り言に家族は誰も驚かず、「食べたいなら食べればいいじゃ~ん。ついでにビール買って来て~」「あ、オレ、ポテチ」「僕、ファミチキ2つね」と
ふつうに言われるのが嬉しかったです。彼らのふつうのリアクションを見ると、今の私は異常じゃないんだなと思えました。
もし感情にままにコンビニに走り込んでいたら、孤独と不安と罪悪感でいっぱいの辛い過食になってしまったと思います。でも、実況中継が出来るようになってからは、普段よりややテンション高めの買い方や食べ方で済むようになりました。

2)(もし)他人だったらどうするかな?
負の感情が出て来た時に、「(こんなとき)○さんだったらどうするのかな?」と考えてみます。例えば、「主人だったらどうするかな?」という感じです。1人だけじゃなく、2人くらいタイプの違う人で考えてみるといいですね。自然と視点が切り替わり、客観的&冷静になれます。

メタ認知能力が低いと、自分の悩みを何かと大袈裟にしてしまう傾向があると思います。疲れている時は更にそうなります。本当は些細な問題だとしても、ものすごく大きな問題に思えてしまうのです。
そんなとき、「~だと私は思う」&「もし○さんだったらどう思うかな?」と考え始めると、「大したことじゃないかも」と思えるようになったりします。しかも、そう思える方がより冷静でより適切な判断ができるんですよネッ^^
そうなれるように継続しながら学んでいく訓練です。

3)目的は何?
これは1)や2)より難易度の高い訓練です。
嫌なことが起きた後、殆どの人が「どうしてこうなっちゃうんだろう?」と考えます。これは過去に原因を追及するセリフです。このセリフには「自分以外の誰かのせいでこうなった」という意味合いが秘かに含まれているため、出てくる答えも、主観的な自分に都合の良い言い訳になりがちです。

一方、メタ認知能力が高い人は、次の機会(未来)に活かすべくして、「何のために自分はそうしたんだろう?(そうしたいんだろう?)と「目的」を考えます。自分で自分にその目的を問うことが、本当の原因を見つける方法だと知っているからです。

例えば、「なんで過食しちゃったんだろう?」ではなく、「何のために自分は過食したのだろう?」と考えてみます。過食をした目的や、過食をしたことで得したことなども考えてみてください。

このようにして自分の本当の問題と向き合うことは、実は難しいし、苦しいしで、結構大変な作業でもあります。疲れている時や落ち込んでいる時は更に難しくて大変になります。でもそういうときにこそ、目を背けずにやってみてほしい訓練でもあるのです。
自分でやるのは難しい、面倒、よく分からない!という方は、是非カウンセリングをご利用ください♡カウンセラーは、他者に対するメタ認知のプロです。安心して何でもご相談、ご質問頂ければと思います。

●最後に
マツコデラックスさんはメタ認知能力の高い方だなと思います。彼女は「この自分でどう生きていくか」という目的を物心着いた頃から真剣に考えていたそうですよ。

さて、今年も残すところ1か月となりました。
今月も皆さまとお会いできるのを、いろんなお話ができるのを愉しみにしております❤どうぞよろしくお願いします。

2018年12月1日
摂食障害カウンセリング あや相談室主宰
摂食障害カウンセラー 長谷川あや

«
»
ページの上に戻る