摂食障害専門カウンセリングルーム あや相談室

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4月のひとこと

今月は「過剰補償」という言葉についてお話したいと思います。
心理用語なのでご存じの方は少ないと思いますし、ちょっとうんちくぽい話になってしまいますが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。

●補償とは
過剰補償の説明をする前に、補償についてお話しします。
補償は、自分が劣等感や苦手意識を持っていることを、別の行動や方法で代替して補おうとする心理メカニズムのことです。補償は誰もが極々自然に行っています。
例えば、勉強が苦手な子が必死に勉強して成績を上げることは、「苦手分野を克復するタイプの補償」ですが、他の得意な分野、例えばスポーツなどで活躍することも、「異なる分野で成果を収めるタイプの補償」です。

補償以外にも、受け止め方(認知)の工夫や、自意識(承認欲求)や自己防衛の調整をしながら、私たちは自分の劣等感や弱点をフォローし、心のバランスを崩さぬようにして過ごしています。

ところが、自意識や自己防衛が過剰になりすぎ⇔劣等感が強くなりすぎると、対する補償も過剰になり、対人関係に悪影響が出たり、心のバランスを崩してしまいます。

●過剰補償とは
過剰補償は、補償して自分の意識を高めたいという思いが過剰になり、「自分を強くしたい」「良く見せたい」という自意識(承認欲求)の枠を飛び越え、『優越感を満たすための独占かつ攻撃的補償』をしてしまうことを言います。

過剰補償は、摂食障害の方にもよく見受けられます。補償の「ダイエット」を続けていくうちに、段々「痩せている方が良い」→「痩せてさえいればいい」となり、終いには「痩せていれば全てがうまくいく」とか「太るくらいなら死んだ方がまし」と本気で思うようになってしまうケースがそうです。
こうなると、完全に心のバランスを崩し、対人関係や生活全体にも支障を来すようになります。しかし、当の本人は自分が危険な状態に陥っている自覚はあまりありません。過剰補償で優越感が満たされているからです。

●過剰な自意識
思春期の頃、私たちは皆、自意識が過剰気味になり、「人からどう見られているか、思われているか」を気にするようになります。

その後、心の成長過程で「人に変に思われたり嫌われることは確かに嫌だけど、別に怖いことではないんだな」と分かり、物事を客観的に見て、冷静な対応が取れるようになります。多くの困っていない人たちの捉え方がこちらです。

一方、そういう経験が乏しかったり心的外傷があると、認知の歪みを修整できず、自意識が過剰なままで、物事を客観的や冷静に見ることができません。そのため、独り善がりな解釈や誤解や勘違いも生じやすくなります。孤独感や生き辛さを感じていても本人には何をどうしたらいいかが分かりません。心が病んでしまう人たちに多い捉え方がこちらです。

●補償自体に問題はない
そもそも補償自体はなんら問題はなく、それが過剰になってしまったことに問題があります。なぜ過剰補償になってしまうかと言うと、上記の通り、多くの困っていない人たちの捉え方とは違う捉え方をしてしまうからです。
つまり、「人に変に思われたり嫌われることは、確かに嫌なことではあるけれど、恐いことではないんだな」と思えるような学習をしてこなかったからなのです。

このことを念頭に置き、再び、或いは新たに補償や受け止め方(認知)の工夫、自意識(承認欲求)や自己防衛の調整をしながら、対人関係に悪い影響が出ない程度に自分の劣等感や弱点とのバランスを取って過ごせるようになることが、心の病の克服及び良好な対人関係の維持につながります。摂食障害を克復した人たちも皆さんもそうされていると思います。

●解放
皆さまが長年思い続けてきた「恐れ」を手放し、多くの困っていない人と同じように生きやすい考え方や捉え方が出来るようになればいいなと思っております。
そのためのサポートが私にできれば幸いです。
カウンセリングでは、クライアントの方のその時々の気持ちをしっかり受け止めた上で、ご本人の気づきや目的に沿って、受け止め方や自意識(承認欲求)や自己防衛の調整の仕方をアドバイスしていきたいと思っています。

●宿命
ところで、過剰補償が強みに転じ、ビジネスやスポーツなど様々な分野で活躍したり、成功している人もいます。
彼らは、劣等感、自意識、自己防衛がとても強く、超人的なスタミナがあり、絶えず努力し続けます。そのため誰にもできないことを成し遂げます。
ただ、いくら成功しても決して安心することはなく、孤独感や疎外感も癒えません。むしろより一層それらは高まって本人を苦しめるケースが多く、宿命的なものを感じてしまいます。
先日、テレビでご自身の辛い過去を語っていたXJapanのYOSHIKIさんもそうではないかと思いました。

私のクライアントの方にも少数ではありますが、そういう方がいらっしゃいます。その方のご活躍を心から応援しつつ、人知れず抱えている孤独感を支えていきたいと思っています。

今月も、皆さまとお会いできるのを愉しみにしております。
どうぞよろしくお願い致します​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​♡

2018年4月1日
摂食障害カウンセリング あや相談室主宰
摂食障害カウンセラー 長谷川あや

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